多賀城市

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多賀城市（たがじょうし）は、宮城県のほぼ中央部、県庁所在地である仙台市の東に隣接し、仙台湾にも近い内陸部に位置する、古代東北地方の政治・軍事・文化の中心地としての歴史を持つ都市です。その市名は、奈良・平安時代に陸奥国（むつのくに）の国府（こくふ）および鎮守府（ちんじゅふ）として設置された「多賀城（たがじょう）」に由来します。この「多賀城跡」は国の特別史跡に指定されており、奈良県の平城宮跡、福岡県の大宰府跡と並び「日本三大史跡」の一つと称されることもあります。約1キロメートル四方の城柵に囲まれた広大な政庁跡や、多賀城の創建や修造の経緯、日本各地への距離などが刻まれた国宝「多賀城碑（壺の碑（つぼのいしぶみ））」は、1300年の時を超えて当時の面影を今に伝えています。この多賀城碑は日本三古碑の一つともされ、歌枕としても名高く、松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅で訪れ、その歴史の深さに感銘を受けたことが記されています。歴史的風情と現代的な都市機能が共存する多賀城市は、仙台市のベッドタウンとして発展し、良好な住環境が整備されています。産業面では、内陸型の工業団地を有し、ソニー仙台テクノロジーセンターをはじめとするハイテク産業の工場などが立地しています。また、古くから稲作が行われてきた歴史があり、近年では古代米の栽培なども行われています。文化・観光の拠点としては、多賀城跡に隣接する「東北歴史博物館」があり、東北地方全体の旧石器時代から近現代に至るまでの歴史や文化に関する豊富な資料を展示・研究し、その成果を広く公開しています。毎年6月中旬から下旬にかけて多賀城跡あやめ園で開催される「多賀城跡あやめまつり」は、東北随一の規模を誇り、約800種300万本のアヤメやハナショウブ、カキツバタが咲き誇り、多くの見物客で賑わいます。2011年（平成23年）3月11日の東日本大震災では、沿岸部を中心に津波による浸水被害を受けましたが、市民と行政が一丸となって復興事業に取り組み、防災集団移転や新たなまちづくりが進められてきました。交通アクセスにも恵まれており、JR仙石線とJR東北本線（国府多賀城駅）の2路線が利用可能で、仙台市中心部への通勤・通学にも便利です。また、三陸自動車道の多賀城インターチェンジや仙台東部道路の仙台港北インターチェンジも近く、県内外への広域的な移動もスムーズです。このように多賀城市は、古代陸奥国の中心地としての輝かしい歴史と、仙台近郊のベッドタウンとしての現代的な利便性、そして豊かな文化と自然が調和した、魅力あふれる「史都」です。国立社会保障・人口問題研究所の2023年12月推計によると、2025年の多賀城市の人口は約62,254人とされています。