南砺市

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南砺市（なんとし）は、富山県の南西部に位置し、石川県と岐阜県に境を接する、面積約668.64平方キロメートルの広大な市です。2004年11月1日に、福野町、福光町、井波町、城端町、平村、上平村、利賀村、井口村の8つの町村が合併して誕生しました。南砺市の名を世界的に知らしめているのは、何といってもユネスコの世界文化遺産に「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として登録されている五箇山地域の相倉（あいのくら）集落と菅沼（すがぬま）集落です。急峻な山々に囲まれたこの地域には、日本の原風景ともいえる茅葺き屋根の合掌造り家屋が今も残り、厳しい自然と共に生きてきた人々の知恵と文化を伝えています。また、井波地区は「木彫りの里」として全国的に有名で、江戸時代中期に京都本願寺の御用彫刻師が瑞泉寺再建のために派遣されたことを起源とし、以来200年以上にわたり高度な木彫刻技術が受け継がれてきました。瑞泉寺の山門や本堂の豪華絢爛な彫刻は圧巻で、井波彫刻総合会館ではその粋を鑑賞することができます。市内には、城端地区の「城端曳山祭」（ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つ）をはじめ、福光地区や井波地区などでも春や秋に絢爛豪華な曳山が練り回る勇壮な祭りが数多く開催され、地域の伝統文化を今に伝えています。自然環境も豊かで、市の南部は白山国立公園の一部を含む山岳地帯が広がり、庄川の清流が深い谷を刻んでいます。また、北部の平野部では、屋敷林に囲まれた家々が点在する「砺波平野の散居村」の美しい田園風景を見ることができます。産業面では、豊かな自然を背景とした農業（米、野菜、干し柿など）や林業に加え、井波彫刻などの伝統工芸、そしてアニメ制作会社P.A.WORKSの本社があるなど、新しい産業の動きも見られます。観光業も重要で、世界遺産・五箇山をはじめ、井波の木彫刻、各地の曳山祭、そしてスキー場のIOX-AROSAや、演劇の聖地ともいわれる利賀芸術公園など、多彩な観光資源を有しています。福光美術館では、地元ゆかりの作家の作品などを展示しています。「こきりこ節」や「むぎや節」といった五箇山民謡も全国的に知られています。このような世界に誇る文化遺産と伝統工芸、美しい自然景観、そして個性豊かな地域文化が融合した南砺市の人口は、国立社会保障・人口問題研究所による2023年12月発表の推計によると、2025年には44,007人になると予測されています。