荒尾市

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荒尾市（あらおし）は、熊本県の北西端、福岡県との県境に位置し、西は有明海に面し、その向こうには雲仙普賢岳を望むことができる風光明媚な市で、古代には小岱山周辺で須恵器生産が行われるなど古くから人が住み、鎌倉時代には野原荘に小代氏が配され統治の拠点となりました。明治時代以降、三池炭鉱の一部として石炭産業が隆盛を極め、日本の近代化を支えた万田坑（まんだこう）は、2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録され、当時の技術力の高さを今に伝えています。炭鉱閉山後は産業構造の転換を進め、現在では農業が盛んで、特に糖度が高く大きな実が特徴の「荒尾ジャンボ梨」は全国的にも知られ、その他スイカやみかんなどの果樹栽培も行われています。また、有明海に面していることから、ノリ養殖やアサリ漁などの沿岸漁業も営まれ、ラムサール条約登録湿地である「荒尾干潟」は、シギ・チドリ類をはじめとする多くの渡り鳥にとって重要な休息地・採餌地となっており、干潟特有の多様な生物が生息する貴重な自然環境を有しています。観光面では、西日本最大級の遊園地「グリーンランド」が年間を通じて多くの観光客を集めるほか、前述の世界遺産・万田坑や荒尾干潟、そして東部に広がる小岱山県立自然公園などが主要な観光スポットとして挙げられます。市内には国の伝統的工芸品に指定されている小代焼（しょうだいやき）の窯元も点在し、地場産業の振興にも力が入れられています。交通面では、九州の大都市である熊本市へは約30分、福岡市へも約1時間でアクセス可能な立地条件にあり、九州新幹線の新玉名駅や九州自動車道のインターチェンジも比較的近いため、広域的な移動にも便利です。市は近年、市立図書館や市民病院のリニューアルを行うなど、住みよいまちづくりを推進しており、面積は約57.37平方キロメートルです。2025年時点の人口については、国立社会保障・人口問題研究所による2023年12月の推計では約47,435人とされています。荒尾市が発表している住民基本台帳人口によると、2025年4月末時点では48,747人となっており、近年の人口は漸減傾向にありますが、これらの情報を踏まえると2025年時点ではおおむね4万7千人台後半から4万8千人台で推移していると考えられ、市では少子高齢化への対応や地域経済の活性化が課題となっています。