宇土市

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宇土市（うとし）は、熊本県の中央部、宇土半島の基部に位置し、北は有明海、南は八代海（不知火海）という二つの海に面し、県都熊本市と八代市の中間にあって古くから交通の要衝として栄えてきた都市です。その歴史は古く、古代には景行天皇にまつわる伝説が残り、中世には宇土氏がこの地を支配しましたが、戦国時代末期にはキリシタン大名としても知られる小西行長が宇土城を大規模に修築し城下町を整備、宇土半島一帯の拠点としました。しかし関ヶ原の戦いで敗れた行長の宇土城は徳川家康の命により破却され、現在は国の史跡として城跡の一部が残り、当時の面影を偲ばせています。江戸時代には細川氏の支配下に入り、一時期は宇土支藩が置かれ独自の発展を見せました。2016年の熊本地震では市役所庁舎が使用不能になるなど甚大な被害を受けましたが、市民一丸となって復旧・復興への道を力強く歩んでいます。自然景観においては、有明海に面した「御輿来海岸（おこしきかいがん）」が特に有名で、干潮時に広大な干潟に現れる三日月形の美しい砂紋（さもん）と、そこに沈む夕陽が織りなす幻想的な風景は「日本の渚百選」および「日本の夕陽百選」にも選定されており、多くの写真愛好家や観光客を魅了しています。また、市の中心部近くに位置する「轟水源（とどろきすいげん）」は豊富な湧水量を誇り、その清冽な水は「名水百選」にも選ばれ、古くから市民の生活用水や灌漑用水として大切に利用されてきました。さらに、小さな祠の前に屈まなければ通れないほど小さなミニ鳥居があることで知られる「粟嶋神社（あわしまじんじゃ）」は、縁結びや安産、病気平癒にご利益があるとされ、全国から参拝者が訪れます。産業面では、温暖な気候と豊かな土壌を活かした農業が盛んで、特にネーブルオレンジやデコポン（不知火）、ミカンといった柑橘類の栽培が盛んであり、ブドウやイチゴ、メロンなどの果物や野菜も特産品として知られています。また、有明海では海苔の養殖が主要な水産業となっており、風味豊かな「宇土のり」は高い評価を受けています。市内に工業団地も整備され、企業の誘致も進められています。交通の面では、JR鹿児島本線と天草方面へ向かう三角線（あまくさみすみ線）が分岐する宇土駅を有し、国道3号、国道57号、国道266号が交差するなど、地域の交通結節点としての役割も担っています。このように歴史と文化、豊かな自然、そして地域産業が息づき、熊本地震からの復興とさらなる発展を目指す宇土市の2025年時点における国立社会保障・人口問題研究所による推計総人口は34,708人です。