玉名市

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玉名市（たまなし）は、熊本県の北西部に位置し、福岡県と県境を一部接し、県内有数の穀倉地帯である広大な玉名平野が広がり、その中央を名川・菊池川がゆったりと貫流して栄養豊富な有明海へと注ぐ、豊かな自然と奥深い歴史文化に恵まれた田園都市です。古代には国指定史跡である大坊古墳（おおぼうこふん）などが築かれ、この地が肥後国の重要な地域であったことを示しており、中世は菊池氏が支配、近世には菊池川の水運を活かした高瀬港が米や麦などの集散地として、また熊本と小倉を結ぶ豊前街道の高瀬宿として大いに繁栄し、その面影は白壁の土蔵や風格ある商家が残る高瀬裏川水際緑地周辺に今も色濃く伝えられています。明治時代には西南戦争の激戦地の一つともなりました。2005年10月3日には、旧玉名市と岱明町（たいめいまち）、横島町（よこしままち）、天水町（てんすいまち）の4つの町が合併し現在の広大な市域となりました。文化・観光面では、約1300年の歴史を誇り白鷺伝説が残る名湯「玉名温泉」が全国的に知られ、無色透明で滑らかな肌触りの弱アルカリ性単純温泉はリュウマチや神経痛などに効果があるとされ「美肌の湯」としても人気が高く、多くの旅館や日帰り温泉施設が軒を連ねています。また、玉名市は「日本マラソンの父」と称されオリンピックに3度出場した金栗四三（かなくりしそう）翁の生まれ故郷であり、その不屈の精神と輝かしい功績は今も市民の誇りであり、生家やゆかりの地には多くの人々が訪れます。九州最大級の大梵鐘「飛龍の鐘」や荘厳な五重塔で知られる「蓮華院誕生寺奥之院」は、宗派を問わず国内外から多くの参拝者や観光客が訪れる一大聖地となっています。初夏には、高瀬裏川水際緑地で約6万6千本の紫や白の花菖蒲が水辺を美しく彩る「高瀬裏川花しょうぶまつり」が盛大に開催され、多くの見物客で賑わいます。山田日吉神社の境内にある樹齢約200年の「山田の藤」は、見事な藤棚から紫色の花が無数に垂れ下がり甘い香りと共に圧巻の美しさを見せます。江戸時代から続く伝統行事「俵ころがし」もそのユニークさで知られています。食文化においては、豚骨をベースにしながらも比較的あっさりとした味わいと焦がしニンニクの風味が特徴の「玉名ラーメン」が、地元民にも観光客にも愛されるご当地グルメとして有名です。産業は農業が基幹であり、肥沃な玉名平野で良質な米のほか、糖度の高いイチゴ（「ひのしずく」「ゆうべに」等のブランド品種）、甘くてジューシーなミカン（特に天水みかんは全国的にも有名なブランド品）、トマト、ミニトマト、ナス、メロンなどの施設園芸や果樹栽培が非常に盛んです。有明海では風味豊かで栄養価の高い海苔の養殖やアサリ漁も行われています。工業団地も整備され企業誘致も進められています。交通はJR鹿児島本線と九州新幹線の新玉名駅があり、国道208号が市内を縦断、九州自動車道の菊水ICなども近く広域アクセスも良好です。このように歴史と伝統、豊かな自然、名湯、そして特色ある食文化が調和した玉名市の2025年時点における国立社会保障・人口問題研究所による推計総人口は57,747人です。