山鹿市

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山鹿市（やまがし）は、熊本県の北部に位置し、福岡県と県境を接する、菊池川とその支流が織りなす豊かな自然に恵まれた山紫水明の地で、古代から現代に至るまで多様な歴史と文化を育んできた魅力あふれる都市です。その歴史は古く、市内には彩色壁画で知られる国指定史跡のチブサン古墳や弁慶ヶ穴古墳をはじめとする数多くの装飾古墳群が点在し、この地が古代肥後国の文化的中心地の一つであったことを示しています。また、7世紀後半には大和朝廷が九州統治の重要拠点として築いた古代山城「鞠智城（きくちじょう・くくちじょう）」（国指定史跡）が置かれ、その復元された壮大な八角形鼓楼は当時の姿を偲ばせます。江戸時代に入ると、肥後と豊前を結ぶ重要な幹線道路であった豊前街道の宿場町として、また菊池川舟運の河港町としても大いに栄え、参勤交代の大名行列や多くの旅人、物資が行き交い、その歴史的な町並みは今も市内の散策で感じることができます。文化面では、室町時代から続くといわれる伝統行事「山鹿灯籠まつり」が全国的にあまりにも有名で、毎年8月15日・16日の二日間にわたり開催され、特に和紙と少量の糊だけで精巧に作られた金灯籠を頭に掲げた浴衣姿の女性たちが、情緒あふれる「よへほ節」の調べに合わせて優雅に舞い踊る「千人灯籠踊り」は、夏の夜を幻想的に彩り、国内外から訪れる多くの観客を魅了します。この山鹿灯籠は国の伝統的工芸品にも指定されています。また、明治43年（1910年）に建てられた芝居小屋「八千代座」は、江戸時代の歌舞伎小屋の様式を伝える貴重な木造建築であり、国の重要文化財に指定されています。回り舞台や花道、桝席などを備えた美しい内装は一見の価値があり、現在も歌舞伎や様々な公演が開催され、当時の大衆文化の息吹を今に伝えています。さらに山鹿市は、熊本県を代表する温泉地の一つでもあり、約800年の歴史を持つといわれ、アルカリ性単純温泉の滑らかな湯が「美人の湯」として親しまれる「山鹿温泉」を中心に、とろりとした肌触りの硫黄泉で美肌効果が高いと評判の「平山温泉」、そしてラドン含有量が豊富な「鹿本温泉」、ワイン醸造所も併設する「菊鹿温泉」といった泉質の異なる個性豊かな温泉郷が点在し、湯治客や観光客に癒やしを提供しています。市のシンボルの一つである奇岩「不動岩」も雄大な姿を見せています。産業においては、肥沃な土地と清らかな水を活かした農業が盛んで、良質な米のほか、スイカやメロン、大粒で風味豊かな栗（西日本有数の生産量を誇る）、香り高い茶、タケノコなどが特産品です。伝統工芸も地域に根付いており、山鹿灯籠のほか、山鹿和傘、来民（くたみ）うちわ、山鹿刃物などが職人の手によって受け継がれています。観光業も市の経済を支える重要な柱であり、これらの歴史・文化遺産や温泉、自然、食などが観光客を惹きつけています。2005年に旧山鹿市と鹿北町、菊鹿町、鹿本町、鹿央町が合併し現在の市域となりました。このように歴史と伝統、豊かな自然、そして多彩な温泉文化が調和した山鹿市の2025年時点における国立社会保障・人口問題研究所による推計総人口は45,696人です。