阿蘇市

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阿蘇市（あそし）は、熊本県の北東部に位置し、東西約18km、南北約25km、周囲約128kmという世界最大級のカルデラ地形と、その中央にそびえる阿蘇五岳（高岳、中岳、根子岳、烏帽子岳、杵島岳）を中心とする活火山群「阿蘇山」を擁する、日本を代表する火山と草原の景観が広がる国際的にも名高い観光都市であり、その大部分が阿蘇くじゅう国立公園に指定されています。古くは阿蘇山の火山活動によって形成された広大な火口原に人々が住み着き、阿蘇を開拓したとされる健磐龍命（たけいわたつのみこと）とその妃である阿蘇都比咩命（あそつひめのみこと）を主祭神とする阿蘇神社は、孝霊天皇9年（紀元前282年）の創建と伝えられ、全国に約500社ある分社の総本社として2000年以上の歴史を持ち、地域信仰の中心として篤い崇敬を集めてきました。独特の景観を織りなす広大な草原は、千年以上続くと言われる野焼きや放牧といった人々の営みによって維持されており、草千里ヶ浜や大観峰からの眺めはその象徴的な風景として知られています。また、阿蘇山麓は豊かな湧水に恵まれ「水の生まれる郷」とも称され、この清冽な水が質の高い農産物を育み、市民の生活を支える源泉となっています。主要な産業は、この雄大な自然景観と、阿蘇内牧温泉や赤水温泉、地獄温泉といった豊富な温泉資源を活かした観光業であり、四季折々の美しさや多彩なアクティビティを求めて国内外から多くの観光客が訪れます。農業も非常に盛んで、冷涼な気候と火山灰土壌を活かしたトマト、キャベツ、アスパラガス、トウモロコシなどの高原野菜の栽培や、褐毛和種である「あか牛」を中心とした畜産業が展開され、阿蘇の食の魅力とブランド力を高めています。2016年4月に発生した熊本地震では、阿蘇神社楼門の倒壊や阿蘇大橋の崩落など甚大な被害を受けましたが、官民一体となった復旧・復興作業が進められ、道路や鉄道などの主要インフラは大部分が回復し、特に寸断されていた主要アクセスルートである国道57号線北側復旧ルートや新阿蘇大橋が再建・開通したことにより、観光客の受け入れも着実に回復しつつあり、地域全体で力強い復興への歩みが続けられています。2005年2月11日に旧阿蘇郡の阿蘇町、一の宮町、波野村が合併して現在の阿蘇市が誕生し、その面積は約376.30平方キロメートルです。2025年時点の人口については、阿蘇市が令和3年3月に策定した「阿蘇市人口ビジョン（改訂版）」では令和7年（2025年）の推計人口を23,093人としていますが、阿蘇市の住民基本台帳によれば2025年4月末時点での人口は23,291人となっています。一方で、国立社会保障・人口問題研究所の日本の地域別将来推計人口（令和5年推計）では2025年の阿蘇市の総人口を22,338人と予測しており、これらの情報を総合的に勘案すると、人口は長期的に減少傾向にはあるものの、2025年時点ではおおむね2万2千人台後半から2万3千人台前半で推移しているものと考えられ、市では移住・定住の促進や地域産業の振興、交流人口の拡大による地域活性化に積極的に取り組んでいます。